2016年1月~6月までの「ABC公査・雑誌販売部数比較表」を見ると、主な週刊誌の部数は以下のようになっている。

週刊文春 435,995 114.72(前期比)
週刊現代 322,857 98.82
週刊新潮 270,054 94.73
女性セブン 219,698 101.81
女性自身 205,333 98.95
FRIDAY 137,983 97.21
週刊プレイボーイ 92,701 91.34
FLASH 89,345 92.28
週刊朝日 88,741 99.29
SPA! 56,836 92.14
サンデー毎日 111.04
AERA 52,457 96.36

週刊文春はさすが!だけど、後はまあ軒並み退潮傾向に歯止めはかかっていないように見える。これにともなって広告収入の減少にも歯止めがかからない(これは文春であっても同じ傾向だろう)。
ところが、ここに救世主として登場したのがドコモが運営するdマガジンだ。
160誌を月400円で読み放題。しかも1アカウントを5台の端末で共有できる。
要するにユーザーからすれば、実質的には「無料モデル」といえる。
またドコモ以外のキャリアでも登録OK。

河童先生も登録しており、自分のiPadと妻のiPad miniにアプリを入れている。
結果、妻は大喜び。週刊文春、新潮から女性週刊誌、さらにファッション誌や男性誌まで見ている始末。
一方、河童先生は元々、会社員時代は雑誌の広告営業をやっていたので、だいたいの雑誌に目を通していたが、退社してからはご無沙汰だった。が、dマガジンのおかげでまた雑誌を日々楽しむ生活が復活。いろいろな雑誌に目を通している。
とくに高校ぐらいまでは熟読していたが、その後は読む機会のなくなった「週刊ベースボール」は毎週楽しみでしょうがない。

ただし、読み放題と言っても、各雑誌ともすべてのコンテンツを出しているわけではない。出版社によって考え方は違うが、雑誌でないと読めない記事も少なからずある。
が、これだけ雑誌があると、それで十分。表紙や目次には入っているが、dマガジンには入っていなくて、どうしても読みたい記事は近くのコンビニか図書館で読めばよろしい(もっともそういう記事はほとんどない)。
つまり月400円、160誌読み放題で120%満足なのである。

このdマガジンは、もちろん閲覧数に応じて出版社へもカネが支払われるが、この金額がいまやもの凄い額となっているという。
結果、販売収入や広告収入が落ちても、dマガジンから入ってくるキャッシュのお陰で、昨今、厳しい状況にあった週刊誌の中には黒字化している媒体もあるという(ファッション誌などの場合は、またちょっと状況が違う)。
これは週刊誌にとってまさに干天の慈雨。

でも、これが雑誌の販売部数をますます減らすことにはならないのだろうか?
dマガジンの読者が増えれば増えるほど、「これで十分じゃん」と思う人も増えるはず。
ここらへん、出版社の側はどう考えているのだろう、、、と思っていたところで、ちょうど出版関係者や広告関係者が集まる会に顔を出す機会があった。

そこで何人かの人にこの疑問をぶつけてみたところ、出版社の経営者レベルでは単純にdマガジンからのキャッシュで週刊誌の収益構造が改善したことを喜んでいる感じ。その下のクラスは「たしかに紙の雑誌に与える影響はわからない、、、」と笑顔もやや曇り気味。

一方、広告代理店の雑誌担当者は複雑。というのもここ最近、広告業界的には決して悪くない状況の中、とくに雑誌の凹み方が目立つ状況がある。

電通
博報堂DY
ADK

しかもこれを改善する手立てがなかなか見つからない。
そうしたなかでdマガジンをどう見ているのかを上記代理店の一つの雑誌担当者に聞くと、

「雑誌にとってはひょっとするとシャブかもしれないし、そうじゃないかもしれない。今のところはわからない」

最近の河童先生の考えでは、いわゆるテレビ、新聞、雑誌、ラジオという、いわゆる4マスの中で、雑誌はもっともデジタルと相性が悪い(逆にラジオはRadikoの登場によってデジタルと相性のいいことがわかり、媒体として見直されていると思う)。
そうしたなかで、ドコモが始めたdマガジンは雑誌配信のプラットフォームを握ってしまったのは、悩ましいことだと思う。
というのも、これは媒体社主導の新たな雑誌ビジネスのモデル構築とはまったく違う話で、単なる既存のコンテンツの切り売りだからだ。しかもここに広告ビジネスをどうやって絡ませるのかが見えにくい(現状では誌面の広告の扱いは媒体社側の考え方次第で、すべて掲載している媒体もあれば、掲載していない媒体もある。あるいはタイアップ広告だけとか)。
したがって、今は良くても雑誌にとって単純に万々歳というわけにはいかないと思う。

またドコモの媒体社に及ぼす影響力が飛躍的に大きくなっていくことも間違いなさそうだ。
ここ最近、週刊誌は電通の問題を書き立てている。もちろんこれは書かれるに相当する理由があるわけだが、一方である意味「金の切れ目が縁の切れ目」という側面がないでもない。つまり電通が広告を通じて、かつてほど媒体社に影響力を及ぼすことはできにくくなっているのだと思う。

そこへ台頭してきたのがdマガジンで、媒体社はもはやドコモに足を向けて寝られない。となれば、たとえドコモにスキャンダルがあっても完全にタブー、取材などもっての他ということになるだう。