ラジオ局は今週から聴取率調査週間、いわゆるスペシャルウィークが始まっている。
そんななかでTBSラジオ「久米宏ラジオなんですけど」では、ゲストコーナーに丸川珠代五輪相を呼ぶことが8月13日の放送で発表された。(40分30秒あたりから)。

丸川はテレビ朝日時代にニュースステーションに出演していたこともあり、久米宏もよく知っているという。とはいえ今回、このオファーを出したところ「はい」という返事がきたのには久米宏も少々驚いたらしい。
なにしろ久米宏といえば、自ら公言する「東京五輪反対派」である。
そして、いまやテレビ、ラジオに跋扈する、御用キャスターやタレントとはわけが違うのであって、安倍晋三が御用タレントに囲まれてニタニタ笑うような番組になるとは思えない。
たとえ面識があっても「厳しい質問をする」という予想は十分に成り立つし、やってくれるだろう。私もそう思った。
ゆえに、久しぶりに番組へ「丸川への質問」メールでも送ろうかと手ぐすね引いていたのである。

ところが翌週、8月20日の放送で、この丸川の出演がキャンセルされたことが発表されたのである。具体的にいうと19日になって突然、「内閣官房東京オリンピック競技大会パラリンピック競技大会推進本部事務局」から「丸川大臣に急な政務が入ったので、来週土曜日の生放送での出演はできません」との連絡が入ったという。
TBS側は「来週のいつでもいいので事前収録させて欲しい」と打診したが「スケジュールの調整がつかない」と断られたとのこと(14分53秒あたりから)。

要するに「逃げた」わけだ。

以下、私の予想。
TBSは丸川の事務所へ出演を依頼。スケジュールが空いており、丸川自身がOKしたので出演を受諾。
しかし、役所内で「久米宏のラジオなんかに出演して大丈夫なのか?」という声が上がる。調べてみると「久米は東京五輪反対派」。しかも、厳しい質問は絶対にしない御用キャスターではない。
「答えられなかったり失言したら大変なことになる」→「急な政務で出演とりやめ」
ま、こんなところだろう。

要するにお膳立てをしてくれて、安心して話すことのできる御用キャスターの番組だったらホイホイ出るが、まともなキャスター、ジャーナリストの前には絶対に出て行かないということである。

しかし、仮にも大臣の職ともあろう者が、多少なりとも火の粉がかかりそうな番組からはサッサと逃げるということでいいのか? たとえきつい質問をされたとしても、それも国民の一つの声であり、それを堂々と受けて立つのが大臣ではないのか?
少なくともかつての自民党の大臣であれば(まあ20世紀あたりまで)、このぐらいのことで逃げはしないし、たとえ相手が久米宏でもそれなりに対応して「なかなかやるな」と思わせたものである。

といって、これは丸川一人の問題ではない。安倍政権の体質そのものである。
神保哲生氏によれば、たとえ総理大臣の記者会見に入って質問のための手を挙げ続けても決して指名されることはないという。しかも指名される記者の質問はヌルく、挙句、挙手する御用記者がいなくなって「今度こそ」と神保氏が手を挙げると、挙手も何もしていないNHKが指名されるのだそうだ(この記者は御用で有名らしい)。

こうして取り巻き連中のなかで持ち上げられつつ、自らに批判的な人間に対しては逃げる、あるいは権力を笠に着て高圧的態度をとるという行動様式は、本質的にカワードであることの証明で、要するに安倍政権はカワードの集団ということである。